あのまちこんなまち 町田~万象房編~

あのまちこんなまち 町田~万象房編~

いつものまちで音楽に出会う

町田には音楽の店が意外と多く、週末の予定が重なってどのライブを優先するか迷うこともあります。
あのまちこんなまち町田編、第2回、ライブハウスもジャズBARもある中で今回訪ねたのは、
小田急線北口から徒歩2分の万象房というお店です。
この日は金曜日のBAR Nightでした。

あのまちこんなまち町田~万象房編~スタート


あのまちこんなまち 町田~万象房編~

 
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この先にある音に会いにいく

5階までエレベーターで上がると、木の温もりの伝わる入り口が見えます。開いた扉にもライブの告知がいくつか。
オープンして10年、少しずつ音楽好きとミュージシャンとが集まり、今では自然とライブのスケジュールが埋まっていくような空間になったとのことです。
この週もフラメンコのギタリストをお客様が連れてくるということを別のお客様が伝え聞き、フラメンコの歌い手をお連れすると、音楽を愛するもの同士、自然とセッションが始まったとのことでした。
チケットもないその日だけの出会いだからこその特別な演奏だったそうです。

 
あのまちこんなまち 町田~万象房編~

ライブだけでなく複数の音楽教室も開かれていてシタールやスラックキーギターなども。
「ジャンルにはくくれないですね」とたずねると「だからこその『万象房』、神羅万象の部屋なんだよ」と嬉しそうに教えて下さいました。

 
あのまちこんなまち 町田~万象房編~

ライブではステージになる店内正面には、今日の演奏に備えて椅子が置かれています。
その横にはピアノ、その上には様々な絃楽器が。沖縄の三線やアメリカの伝統楽器、名古屋で作られたという新しい楽器も。

 
あのまちこんなまち 町田~万象房編~

 
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楽器と共に絵画作品も数点、音楽関連の書籍も本棚に揃っています。
CDも多く、ディランやビートルズなどの名盤の他に万象房ゆかりのミュージシャンたちの作品も並んでいました。


 
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音楽以外の楽しみも

メニューにはお酒はもちろん、「ソーセージの形に中身は餃子の具」という町田名物・成瀬餃子もあります。 今回頂いたのは、トゥルシーというホーリーバジルです。こちらはシタールの先生がインドのお土産にプレゼントしたのがメニューに載るきっかけだったそうです。
万象房らしい音楽の縁です。

 
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3種類あり、それぞれ効能も違うそうです。「Tolsi Brahmi(トゥルシーブラフミー)」というこちらはハーブらしい香りで、お茶好きとしては新鮮に楽しめました。
二煎目まで楽しめます。

 
あのまちこんなまち 町田~万象房編~

さぁ、音に会いにいこう

この日は予定より少し早めにお客様が集まり始めていたようです。常連さん同士の集いというより、音楽のためのコミュニティとして開けている様子が伝わります。
この日BAR Nightでは「地下鉄のギタリスト」土門秀明さんの4回目のバスキングLiveが行われます。
バスキングとはバスカーつまりストリートミュージシャンによる演奏のことです。
イギリス滞在中に日本人として初めてロンドン地下鉄公認バスカーのライセンスを取得した土門秀明さんは、地下鉄駅構内での演奏を続ける中で、アルバム「Live in Tube」を録音。
ギターの音色と共に地下鉄の物音や人の話し声もそのままに記録した作品となりました。

開演30分ほど前に来店された土門さんは、挨拶もそこそこに正面の椅子に座られるとお店のギターを試し弾き、演奏される方のこうした姿には楽器への愛情が伝わってきます。
ご自身のギターに持ち替えて音の確認をされる間に、お話を伺う機会を頂けました。

 
あのまちこんなまち 町田~万象房編~

イギリスでは演奏をする人が当たり前のようにいる、音に溢れているのが自然なんだとのこと。だから立ち止まるひともいない、通り抜ける10秒や15秒の間だけ聴いているのだそうです。
演奏中は、ギターに意識を向けるよりも、周りの物音、人の声や表情を観察するような気持ちで弾いているそうで、ギターだけではなくいろんな音が聴こえてくるのだとか。
自然と開演時間を過ぎて、ギターの手を止めることなく、お客様との会話も交えながら、演奏は続きます。

 
あのまちこんなまち 町田~万象房編~

日本では演奏していると、立ち止まって聴き入ってしまうか、話しかけようかと迷う人が多いそうで、街の雑踏の中に溶け込むのは難しいそうです。
ご出身の地・酒田の總光寺(そうこうじ)のために作られた「慕古(もこ)」という曲は、お寺の滝の音と混ざり合うように演奏することを想定されているそうです。
ギターの音色が高まると滝音が隠れ、ギターが静かになると滝音が聴こえてくる…歌や楽器ではない音楽になる前の音とセッションするような演奏です。
イギリスと日本の演奏のそれぞれの特色を、地下鉄という人々の音と、自然の水音という対比で考えると、もしかしたら西洋と東洋の文化的な違いにも通じるのかもしれません。

万象房という空間で聴いていても、ステージ上の独立した演奏としてよりも、同じこの場所この時間を過ごすために、音楽の中で一緒に過ごしてくれているように感じられます。

 
あのまちこんなまち 町田~万象房編~

この日特別な企画として、朗読とギターとの共演を聴くことができました。
これまでも、イギリス滞在日記をまとめた著書「地下鉄のギタリスト」の出版イベントや、絵本の読み聞かせイベントで、朗読との演奏はあったそうです。
万象房と土門さんとをつないだきっかけとなったお客様の朗読と、ギター。土門さんの朗読と、お客様のギター演奏も。
「地下鉄のギタリスト」は電子書籍でも読むことができますが、ギターと共に地下鉄爆破テロの翌日の日記の朗読を聴くことは特別な感動でした。
バスカーたちに受け継がれていく「No Tip today, I will sing for you.」。
電子書籍では「第2章激闘編」も読むことができます。ぜひご一読頂きたいと思います。

 
あのまちこんなまち 町田~万象房編~

「日本では立ち止まってしまう」と話された土門さん。音楽が「特別なこと」になっているのかと思うと、 商業的に消費されていくだけの音楽が溢れる日本を憂いてしまいます。
万象房では、耳を傾けることも、演奏の中で会話することも、土門さんのお話を楽しむこともできました。
音楽の中で生きてきた人たちが集まるお店だからこその魅了がそこにはありました。

 
あのまちこんなまち 町田~万象房編~

土門さんのギターはイギリス時代から変わりません。後ろにはバスカーの許可証が今も貼られています。

 
あのまちこんなまち 町田~万象房編~

 
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外に出るとすっかり町田は夜の街へと変わっていました。音の別世界から帰ってきたような気持ちです。
土門さんの演奏が似合うのは他にどんな場所があるだろうと思いを巡らせながら帰路につきました。

今回のお店

万象房
住所:〒194-0022 東京都町田市 1丁目34−18 ユニオンビル5階
営業時間:19:00~23:00
定休日:毎週月曜日、第2火・水曜日、第4木曜日
万象房 WEBサイト

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